2007-01-01から1年間の記事一覧

妥協と想像力

新聞スクラップ。朝日の文化面、近藤孝弘名古屋大学准教授が寄稿「『妥協の能力』を政治に」で、自民、民主の大連立構想に関連して、ドイツで政治行為能力として重要視される「妥協の能力」を取り上げている。 妥協は他者への理解を前提とし、その上で意識的…

SOMEDAY

出るのを待っていた日本酒をようやく入手。さっそくいただき、気分よくなったところでテレビをつけると、小田和正と佐野元春が「SOMEDAY」を歌っていた。佐野26歳のときの曲。小田に向けて佐野がこう言った。 20代、30代、40代のSOMEDAYがある それ…

司馬遷

武田泰淳『司馬遷―史記の世界』(講談社文庫)105円。講談社文芸文庫で出ているが、こちらのほうが装丁が圧倒的にいい。 『歴史街道』バックナンバー大量にあり。とりあえず幕末、明治期の特集を10冊。1050円。豊かな気分。 新刊の黒岩比佐子『編集…

虹 福澤

朝の犬の散歩中、道路わきに駐車中のワゴン車の女性から「虹が出てますよ」と声をかけられる。後ろを振り向くと、大きな虹。虹よりも、そのように声をかけられたことに心が動く。 西部邁『福澤諭吉』(文芸春秋社)読む。力のこもった仕事。『思想史の相貌』…

読書計画

「BRUTUS」の特集「読書計画2008」で田中光が、今年亡くなったカート・ヴォネガットを取り上げている。彼が薦める5冊『ローズウォーターさん あなたに神のお恵みを』『タイタンの幼女』『スラップスティックス』『ガラパゴスの箱舟』『国のない男…

情報の町医者

『人文会ニュース』12月号の豊田高広「『無料貸本屋』から『情報の町医者』へ」にうなずく。筆者は2004年9月に開館した静岡市立御幸町図書館長。公共図書館の貸し出し至上主義に対する反省と図書館をめぐる議論が繰り返された。ではどうしたらよいの…

小学館昭和文学全集

朝、出かけようとしたら車のエンジンがかからず。冷え込んだ昨日も少し調子が悪かった。おそらくバッテリー交換。わがホンダCRVは走行距離16万キロを超え、多少のトラブルはやむを得ないが、1週間前に中古スタッドレスタイヤ(ウィンタートランパスMK3…

玉上源氏そろう

温泉旅館での忘年会明け。古本が恋しくなる。 『玉上啄弥訳注 源氏物語』4−10(角川文庫ソフィア)各150円 乙川優三郎『むこうだんばら亭』(新潮文庫)『夜の小紋』(講談社文庫)各250円。これで玉上啄弥訳注版がそろう。訳が原文のすぐ下にあっ…

やさしいことをふかく

漫画家の勝又進が亡くなったこと、新聞で知る。ガロに載っていた漫画、好きだった。まだ63歳だったとは。もう一人、ガロで大好きだった楠勝平(故人)の作品集を最近読んだばかり。『すばる』新年号扉にある井上ひさしの「ゆれる自戒」の言葉が勝又の作品…

ネトゲ未亡人と「天使との関係」

朝日新聞生活面連載「男と女 夫婦の距離2」が読ませる。ネットゲーム依存症の夫や恋人をもつ女たちのことを「ネトゲ未亡人」と呼ぶそうだが、そんな境遇の30代の妻の「戻ってこない夫」に対する独白。何日か前に書き写した会田綱雄の詩「十月」が頭に浮か…

手帳の季節

手帳のことを考える時季。何を使うか選ぶにあたっては極力、保守的にと心に決めている。来年も、システムダイアリー(SD、ナラコム)をスケジュール中心に、バイブルサイズのシステム手帳を企画ノート用にしようと思う。 ファイロファックスが日本に上陸し…

蒐集の鬼 柳宗悦『蒐集物語』

注文した柳宗悦『蒐集物語』(中公文庫)が届く。何年か前に出た限定復刻版ではなく旧版。読み始めると止まらない。 「盒子物語」 大正5、6年ごろ。朝鮮で李朝の盒子(辰砂入り)を見つけ、帰国まで預かってもらうことを約束したが、受け取りに行くと売ら…

会田綱雄の蟹

ちょっと前に出たブルータスの特集「言葉の力」を読んでいて、書家、篆刻家の華雪の書(会田綱雄の詩「十月」)に目が止まる。 ある晴れた日に とおまえはいう きれいなせりふだけど あいにく この水は苦くて呑めない だから かんじんなのはネ 笑いだすこと…

文士の時代 田中英光

大きな難関を抜けて一区切り。 林忠彦『文士の時代』(朝日文庫)105円はうれしい。 ページをめくっていくと、「田中英光」の写真に目が止まる。前のページにある太宰治と同じような写真。こういう人だったのか。 そのエピソードがなんともすごい。まず、…

星新一と苦心惨憺の跡

『星新一 空想工房へようこそ』(新潮社、とんぼの本)でフーンと思ったこと、驚いたこと。文壇バー「まり花」で知り合った著名人に、コースター裏に書いてもらったサイン(その数、半端じゃない)。細かい字でびっしり書かれた「午後の恐竜」のメモ断片、シ…

目がくらむ

23、24日は古書店の文庫本特売日。目がくらんで15冊買う。 西脇順三郎『野原をゆく』、龍胆寺雄『放浪時代 アパアトの女たちと僕と』、室生犀星『加賀金沢 故郷を辞す』『あにいもうと 詩人の別れ』、井伏鱒二『風貌 姿勢』、井上靖『補陀落渡海記』、大岡昇…

柳宗悦生涯の到達点

酒屋に行くと群馬県太田市の「群馬泉 山廃純米」が出ていた。 蔵元の島岡酒造は文久3年(1863)創業。昨年2月に酒造倉庫を全焼して存続を危ぶまれたが、ファンの望む声を受けて製造を再開した。 順次販売されていた「初しぼり」「淡緑(うすみどり)」…

ふたふたふたふた

坪内祐三『四百字十一枚』の余談が楽しい。 毎日2、3編ずつ読んでいる。 昨夜は「三たびホリキリの季節」に出てくる武田百合子の書評(堀切直人の本)の引用文に、なんだかいい気持ちになった。 呼鈴が鳴ってドアをあけたら、想像していた高さのところに顔…

森敦 荷風

森敦『浄土』『われもまたおくのおそ道』(講談社文芸文庫) 草野心平『わが光太郎』 合わせて1650円だが買う。 荷風のことを考えていたら どういうわけか森の『月山』を読み返したくなる。

荷風、鞄

磯田光一『永井荷風』(講談社文芸文庫)読み始める。1年前に読んだ磯田の遺作『萩原朔太郎』が大きな手応えあり、赤、青線だらけにした覚えがあるが、これもまた期待できる。巻末にある秋山駿の「著者に代わって読者へ 磯田さんの志」、いい文章だと思う。…

「キレる」と言葉の力

朝日新聞生活面の「キレる大人たち」反響編(下)で紹介されている数々の事例は、他人事と思えない。もちろん自分は「キレる」側。自重しなければと思いながら、毎日何らかの形(相手が気づかない場合もあるが)でキレているなあとあらためて実感する。しか…

タウト・柳宗悦

『日本 タウトの日記』を今日も読む。 ブルーノ・タウトは来日して1年3カ月後の1934(昭和9)年8月1日、群馬県高崎市の少林山達磨寺洗心亭で暮らし始める。 その年の12月27日、柳宗悦(1889―1961)とイギリス人陶芸家、バーナード・リ…

一記者

毎日新聞が「メディアを考える」で、渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長兼主筆が、自民、民主の大連立構想に重要な役割を担ったことを取り上げている。 4人の識者は三宅久之氏を除き、渡辺氏の行動に批判的な姿勢。毎日新聞は昨日の夕刊でも「特集ワイド」…

ある事件記事の間違い

「新聞記者 疋田桂一郎とその仕事」(朝日選書)を読む。 朝日新聞記者の疋田桂一郎(1924−2002)が書いた記事や新聞論などをまとめた本。 特に「ある事件記事の間違い」に考えさせられた。 疋田が今から30年以上前の1976年、朝日新聞の調査研…

黒幕と新聞

東京新聞特報部と朝日新聞天声人語が 小沢一郎の騒動の黒幕だった読売新聞グループ会長の渡辺恒雄のことを取り上げている。 こういう人が経営する新聞の記者たちは、日々、どんな思いで記事を書いているのか。 天声人語氏の最後の言葉に同感(朝日がこの通り…

タウトの観察する「眼」

6月に出たブルーノ・タウト『忘れられた日本』(中公文庫)を読む。 1952年の出版されたものの新版。 「日本美の再発見者」タウトを知るのもいいが 解説で斉藤理氏が書いているように この書をひとつの刺激として、タウトが自ら実践したように、深い洞…

睡眠不足の日は

睡眠不足の日はなぜか本をたくさん買い込んでしまう。 萩原朔太郎『猫町』(岩波文庫) 内田百けん『百鬼園先生言行録』(福武文庫) 赤瀬川原平『外骨という人がいた!』(ちくま文庫)…単行本はもっているが、職場用として 渡辺一夫『渡辺一夫評論選 狂気…

二松学舎

『明治10年からの大学ノート 二松学舎130年のあゆみ』(三五館)が新鮮。 通常の校史とは異なり、新書版で人物の物語を中心した編集だ。 漢学者三島中洲の精神とその時代がコンパクトにまとまっていて読みやすい。 いくつかの大学が130年、150年…

時計のない暮し

昨日、「模擬テストで使うので、時計を貸して」と娘に頼まれ、困る。 テストでは、いつも時計かわりに使っている携帯電話はダメ、とのこと。 ところが、私も妻も時計を持ち合わせていない。 ストップウオッチでなんとか対応したが、 思えば、携帯が登場する…

迷わず八雲

集中豪雨のような日々が昨日のシンポジウムでひとまず終わり。 崩していた体調も回復し、本屋散歩。 本日は5冊。 『中国名詩選 上』(岩波文庫)…これで上中下そろう。 乙川優三郎『霧の橋』『喜知次』(講談社文庫)『生きる』(文春文庫) 以上105円 …