2009-01-01から1年間の記事一覧

独楽園

薄田泣菫『独楽園』(ウェッジ文庫)入手。新しい文庫を手にしてこれほどの幸福感を味わえるのは、近ごろウェッジしかない。室生犀星『庭をつくる人』、馬場孤蝶『明治文壇の人々』のときも、もっているだけでいい気分が続いた。年末、ゆっくり読むにふさわ…

小林信彦 文春連載

小林信彦『人生は五十一から』1から6までそろう。3の「出合い頭のハッピー・デイズ」にある「山本夏彦・入門」。 山本夏彦の新著「完本 文語文」は、氏の文業の頂点を示すものではないか。 という指摘だけで、このシリーズのすごさがわかる。

闘う社説

若宮啓文『闘う社説 朝日新聞論説委員室2000日の記録』(講談社)。引用されていた2003年元旦の朝日社説「『千と千尋』の精神で 年の初めに考える」を読み直し、出たその朝、身震いしたのを思い出した。 この地球上にも、実は矛盾と悲哀に満ちた妖怪…

丸谷「どこ吹く風』、『日本の合戦』

丸谷才一『思考のレッスン』(文春文庫)の、暇なときには本を読むな、考えろ、という主張に共感。その勢いで、やらねばならないこと山積しているのに丸谷の『どこ吹く風』読み始める。とまらず、結局最後まで。 小学館日本古典文学全集、残ってれば買ってし…

庄野潤三死去 歌論集 連歌論集 万葉集

庄野潤三死去。最近読んだ彼の作品について、何か書きたいと思う。このところつまみ読みを続けている安岡章太郎『歴史への感情旅行』(新潮文庫)は、そんなふうにして読む本ではないということに気付いて最初から読み直す。 気晴らしにブックオフ。小学館日…

小島信夫・林達夫 サマーリーディング

PR誌「本」8月号(講談社)にあった高橋源一郎と福岡伸一の対談「科学と文学のあいだ」を読んでいたら、高橋が小島信夫の遺作『残光』のことを話していた。気になっていながら読んでいなかった小島のいくつかの作品のことが頭に浮かぶ。とりあえず『殉教…

藤枝から那珂、渋谷、磯田まで

藤枝静男『悲しいだけ 欣求浄土』、『田紳有楽 空気頭』(講談社文芸文庫)、林屋辰三郎『南北朝』(朝日文庫)、佐藤文隆『アインシュタインの宇宙』(同)、坂本義和『相対化の時代』(岩波新書)を入手。 那珂太郎『萩原朔太郎詩私解』(小沢書店)、渋谷…

昭和文学全集 梅崎、安岡ら

『昭和文学全集20 梅崎春生、島尾敏雄、安岡章太郎、吉行淳之介』(小学館)、105円なので購入。内容充実、解説も読ませる。これでこの値段でいいのか。奈良本辰也『日本の歴史17 町人の実力』(中公文庫)、坂口安吾『桜の森の満開の下』(講談社文…

磯田光一の朔太郎 文語自由詩

磯田光一『萩原朔太郎』(講談社文芸文庫)を再々読。 口語自由詩の大半が「散文への退化」にすぎぬ―少なくとも朔太郎にはそうみえた―とすれば、いったい文語自由詩が口語自由詩よりも劣るといいきれるのであろうか。『月に吠える』と『青猫』とが口語自由詩…

米原万里の本に対する機嫌のよさ

米原万里『打ちのめされるようなすごい本』(文芸春秋)の単行本を読んでいたら、文庫が出たのに気付く。丸谷才一の文庫向け解説を本屋で立ち読み。「本に対する機嫌のよさ」を指摘していて、そうだなあと納得。 『柳田泉の文学遺産』(右文書院)書店にない…

雑種文化 世界の歴史

あまり愉快ではない訪問者の愉快ではない報告。気晴らしに出かけると、加藤周一『雑種文化 日本の小さな希望』(講談社文庫)。以前から探していた希少本。こういうこともある。小林信彦『回想の江戸川乱歩』(新潮文庫)、伊藤道治『新書東洋史 中国の歴史1…

日本文壇史と肩書のない名刺

すぐに必要な本ができてブックオフに行くと、なんと伊藤整『日本文壇史』1、2、3、4、7、瀬沼茂樹の19、20、21がいずれも105円。少し前に、図書館で借りてまとめて読もうと思って、そのままになっていた。旺文社の内田百けん本が20冊近くあ…

島尾の島の果て

見たことがなかった文庫、島尾敏雄『島の果て』(集英社文庫)をみつけ105円で。 ついでに宮城谷昌光『夏姫春秋』上下(講談社文庫)、清水幾太郎『本はどう読むか』(講談社新書)、早乙女貢『隠された維新史』(広済堂文庫)、『家康と天下平定』(小学…

悩みのるつぼ 寒夜の水

朝日新聞「Be」にあった「悩みのるつぼ」(回答者・車谷長吉)読み、 避けていたこの人の『赤目四十八瀧心中未遂』(文春文庫)気になりはじめ、 午後に出かけて購入。 ついでに 山口瞳『酒食生活』(ハルキ文庫)、『風のかたみ 鎌倉文士の世界』(朝日文…

散歩ついで

昼休みの散歩ついでに、三遊亭円生『噺のまくら』(朝日文庫)、佐藤優『国家と神とマルクス』(角川文庫)、宮城谷昌光『王家の風日』(文春文庫)入手。 マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや 一本の骨をかくしにゆく犬のうしろより…

不良社員、不良中年、不良定年 多読術

嵐山光三郎『不良社員の条件』(知恵の森文庫)、『不良中年は楽しい』(講談社文庫)、ここまで書くか、などと、なんだかんだ言いながら、一気に読んでしまう。『不良定年』もそうでした。『不良中年は楽しい』の「往生際は悪くてよろしい」、この人ならで…

風呂で読む漱石

豊福建二『風呂で読む 漱石の漢詩』(世界思想社)を持っていたのを思い出し、引っ張り出す。何度かこれを風呂に持っていったが、湯船で本を開くことに違和感がぬぐえず、やめた覚えがある。 「はじめに」の大岡信の次の引用文、メモしておこうと思う。「漱…

てごたえの予感

古井由吉『漱石の漢詩を読む』(岩波書店)、新刊書店でようやく見つけ購入。 ぱらぱらと拾い読み。手ごたえある読書の予感。 一緒に加島祥造『タオ 老子』(ちくま文庫)も。 口あけて孤児は眠れり黒パンの屑しらかりている明るさに寺山『青春歌集』「空に…

陰徳 敗者の微笑

必要あって、佐藤一斎著、川上正光訳『言志四録二 言志後録』(講談社学術文庫)読む。 「75 陰徳の真の意味」になるほどと思う。 訳文「凡俗な儒者仲間のは、隠れて徳を施して、幸福を受けることを惜しむという説がある。自分は思うに、徳には陰も陽もない…

パパラギ

エーリッヒ・ショイルマン『パパラギ』(ソフトバンク文庫)読む。 1981年に立風書房から出たものの文庫版。和田誠の絵をたくさん使った「絵本版」(2002年)の文章が随分アレンジされていたことに気づく。今読んでも、中身は腐っていない。今だから…

清貧の思想 好きなことばかりして生きた一生

「『清貧の思想』ふたたび」を特集している雑誌「SAPIO」初めて買う。 巻頭の富岡幸一郎「日本人が本来持っていた『低く暮し、高く思う』という哲学」 少し前に熟読した富岡の『内村鑑三 偉大なる罪人の生涯』を思いつつ読む。手元にあった中野孝次『足…

池内、寺山、中野

池内紀『作家の生きかた』 (集英社文庫)がたのしい。 とくに内田百けんと寺山修司のこと。 これに刺激を受けて探していた 寺山の『寺山修司青春歌集』(角川文庫)入手。 机上に置き、少しずつ読もうと思う。 まずは「空には本」の「チェホフ祭」から、心に…

『幸田文のマッチ箱』ぐいぐい

村松友視『幸田文のマッチ箱』(河出文庫)、坪内祐三の解説に引かれて購入。 ぐいぐい読む。最近読んだ同じ村松の『百合子さんは何色 武田百合子への旅』より数段いい。 そんなとき、幸田文の『ふるさと隅田川』(ちくま文庫)が目に入り入手。 105円以…

日本史探訪とインド綿の服

少しずつ集めている『日本史探訪』(角川文庫、全22巻)が105円棚に並んでいたので、3、5、6、12購入。ついでに二木謙一『関ケ原合戦』(中公新書)、陳舜臣『アヘン戦争』(中公文庫)も。『日本史探訪』3の「律令体制と歌びとたち」は盛りだく…

ふいに現れる『隋の煬帝』

ふっと気付くと2カ月も書いていない。 なるべく毎日、少しの量でも、と思う。 庄野潤三『インド綿の服』(講談社文芸文庫)500円、宮崎市定『隋の煬帝』(中公文庫)105円。後者は、ほしいと思ったとき、どこかで見た覚えがあったのに忘れてしまい、…

『居候匆々』と時事新報

旺文社の百けん文庫、昨年末に同じ書店で再度大量購入。 そして本日、同じ店で同文庫『居候匆々』105円で。 百けん作品、残るは、第三阿房列車、続百鬼園随筆、有頂天、戻り道・新方丈記、随筆億劫帳、沖の稲妻、実説艸平記、百鬼園日記帳の8冊に。 年末…