庄野のゴーゴリと「鼻」

 庄野潤三が『自分の羽根』(講談社文芸文庫)の「ゴーゴリ」で書いている。

私はもっと早くゴーゴリを読めばよかったと思って後悔している。(略)私は小説が書けないときに、「死せる魂」を取り出して、どこでもいい、チチコフが駁者セリファンと三頭の馬とともにどこかの地主のいる村めがけて馬車で駆けているところを開いて読んでみる。そうすると、気持がほぐれて来て、「何もくよくよすることはない」と考える。

ずっと前に呼んだゴーゴリの「鼻」のことを思い出した。明日、どこかにあるはずの文庫を探そう。